私は、素晴らしい上司のもとで働くことができた数少ない幸運な一人です。彼女は日本における職場の多様性を高め、ジェンダーギャップを埋めるべく、たゆまぬ努力をしてきた経営者でしたが、残念なことに昨年亡くなりました。 6月に彼女の一周忌を迎えたことを機に、彼女のリーダーシップについての記事を書くことにしました。

常にポジティブであること
悪いニュースを伝えなければならない時や、物事が予想通りに進まない時でも、彼女はいつもポジティブでした。彼女はいつも私の話を聞いても、私を批判したり、失望することはありませんでした。いつも優しく、「じゃあ、どうしようか」というシンプルな質問をしてくれました。ポジティブであることは、必ずしも楽観的になりすぎることではなく、与えられた状況を踏まえて前向きに考えることだと学びました。
平均的なところに落ち着こうとしない
常にできる限りのベストを追い求め、少しも妥協することはありませんでした。プレゼン資料に使用するたった一枚の写真であっても、納得するまでみんなでじっくり考えました。また、彼女はたやすく達成可能な目標を設定することはありませんでした。いつも、「自分の心の声に耳を傾ければ、自分が本当に達成したいことは、今の目標よりもずっと上にあることはず」と言っていました。
勇気を出して
何か新しいことを始めたり、他の人とは違うことを始めるのはいつも怖いものです。「でも、怖いと思った時こそ、前に進んでいる証拠。勇気を出して、一歩踏み出してみて」と彼女は言っていました。実際に、まだ男性が圧倒的に多い経済団体で女性初の役員として要職に就任したときの彼女のGrowth Mindsetを目の当たりにしました。また、私が仕事でもプライベートでも何か新しいことを始めようとすれば、彼女はいつも応援してくれました。 いつも、私の話を聞いて即座に、背中を押してくれます。即座に。これはかなり重要なことだと思います。「いいじゃない!大丈夫、頑張りなさい!」
人を大切にする
本当に人を大切にしてくれていました。私が会社を辞めて別の道に進んだ後も、多忙にも関わらず、会う時間を定期的に作ってくれました。クリスマスには、私や元同僚にサプライズでメールを送ってくれました。単純なことですが、なかなかできないことです。
ユーモアのセンスを持つ
彼女は、多くの場面で自分の役割について非常によく理解していました。男性ばかりの組織に飛び込んだにもかかわらず、彼女は大勢の会議で他の人が発言をためらう時にあえて発言し、「私は男性経営者とは違うということを自覚しているの。だからこそ、私は他の人と違っているべき」と言っていました。彼女は常に現状に疑問を持ち、挑戦していました。そんなときも、彼女の持ち前のユーモアのセンスの良さで場が明るくなりました。彼女は、自分の発言でその場の空気が凍り付いちゃったわ、などとお茶目に話すこともありましたが、今思えばそれもすべて、彼女の思惑通りだったと私は思います。
最後に、彼女が生涯をかけて取り組んできた女性の社会進出の勢いを止めてはいけません。今、奇しくもCOVID-19の感染拡大防止策として、大企業を中心にテレワークが急速に拡大しています。彼女は、テクノロジーの進化と導入が女性の職場や社会へのさらなる参加に役立つと強く信じていました。テクノロジーがこれまでにないレベルで活用され始めた今、私たちは、多様な人生を生きる人たちが活躍できる社会づくりに力を入れていかなければならないと思います。